2024年11月29日に閣議決定により、令和6年度補正予算が決定されました。
今回は2025年に中小企業・中堅企業が活用できる主要な補助金をまとめています。新たな補助金も登場しているので合わせてご確認ください。
2025年に向けた予算編成はこちらの記事にまとめています。
2024年12月18日更新:
令和6年年度補正予算 ものづくり補助金の情報が公表されました。
多くの自動車整備工場が申請している補助金の一つです。
最新情報はこちら↓
2025年は補助金バブル?
2024年度補正予算案の額は13.9兆円で政府はこれを閣議決定しました。
この巨額の予算の内、日本経済・地方経済の成長には最も多い配分の5兆5705億円が割り当てられており、この中でさらに活用できる各補助金に予算が割り当てられています。
補助金に関係が深い経済産業省関係の補正予算案は総額4.4兆円(国庫債務負担行為による複数年度分を含めると4.9兆円)です。この中から約2.8兆円が中小企業支援や成長分野への投資、地域活性化施策等が含まれます。
今年新たに制定される補助金は以下の2つです。
(仮称)中小企業成長加速化補助金
(仮称)新事業進出補助金
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中小企業生産性革命推進事業【予算額:3,400 億円】
全3,400億円の内、1,000億円は新たな補助金である「(仮称)中小企業成長加速化補助金」に割り当てられ、2,400億円はものづくり補助金やIT導入補助金等これまでの補助金に割り当てられます。
新たに「(仮称)中小企業成長加速化補助金」が制定されたことで、昨年以上に補助金の活用の幅が広がる見込みです。
(新)中小企業成長加速化補助金 【予算額:1,000億円】
新たに制定される補助金制度のため、詳細は出ていないため条件などは別途記載いたします。
現在わかっている部分は以下の通りです。
目的:売上高100億円超の中小企業を恒常的に創出
支援内容①:売上高 100 億円を目指す成長志向の中小企業・小規模事業者の成長投資をハード・ソフトの両面で支援
支援内容②:中小機構による多様な経営課題(M&A·海外展開·人材育成等)の支援等を創設
ものづくり補助金
中小企業等の革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの省力化による生産性向上を目的とした設備投資を支援する制度です。
対象経費は主に機械設備、システム構築費用(会社独自に構築した内容)となります。
申請できる複数の枠が設けられる可能性があり、最も規模の大きい枠であれば最大8,000万円の補助が期待できます。
補助率は主に1/2で補助額は従業員数によって変わります。
以下は過去の申請枠(省力化枠)の補助額を載せています。
従業員数 | 補助額 |
従業員数5人以下 | 100万円~750万円 |
6~20人 | 100万円~1,500万円 |
21~50人 | 100万円~3,000万円 |
51~99人 | 100万円~5,000万円 |
100人以上 | 100万円~8,000万円 |
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IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際の費用を一部補助する制度です。
補助額は5万円~450万円で補助率は主に1/2となります。
この補助金はあらかじめ支援事業者として登録されている事業者のITツールを事業者が選び、支援事業者と協力して申請します。事前に登録されているツールから申請するので、審査もスムーズで申請の手間は他の補助金と比べて比較的簡単です。
過去の申請枠は通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠と事業者のニーズによって使い分けることが可能です。
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小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓や業務効率化の取り組みを支援する補助金です。
対象者は小規模事業者に限定されるため、従業員が多い事業者は申請できないのでライバルが少ない補助金となります。
小規模事業者は従業員人数によって決まります。
以下の条件に合致する事業者は申請が可能です。
業種別従業員数の条件
商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く):5人以下
宿泊業・娯楽業:20人以下
製造業その他:20人以下
その他の要件
資本金5億円以上の法人に100%株式保有されていないこと
直近3年の課税所得の年平均額が15億円以下であること
補助率と補助上限額
申請枠 | 補助率 | 補助上限額 |
通常枠 | 2/3 | 50万円 |
賃金引上げ枠 | 2/3(赤字事業者3/4) | 200万円 |
卒業枠 | 2/3 | 200万円 |
創業枠 | 2/3 | 200万円 |
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事業承継·M8A補助金
事業承継・引継ぎ補助金は、中小企業・小規模事業者の事業承継やM&Aを支援する重要な制度です。
申請類型と補助内容
類型 | 補助対象 | 補助率 | 補助上限額 |
経営革新事業 | 事業承継・M&A実施者 | 1/2・2/3 | 600万円~800万円 |
専門家活用事業 | 経営資源の譲渡・譲受者 | 1/2・2/3 | 600万円 |
廃業・再チャレンジ事業 | 廃業等実施者 | 1/2・2/3 | 150万円 |
(新)中小企業新事業進出促進事業【予算:1,500億円】
事業⽬的:
⼈⼿不⾜や賃上げといった昨今の経済社会の変化の中で、中⼩企業等が成⻑する過程においては、既存 事業の拡⼤に加え、新たな事業の柱となる新事業への挑戦が重要。既存事業と異なる事業への前向きな挑 戦であって、新市場・⾼付加価値事業への進出を後押しすることで、中⼩企業等が企業規模の拡⼤・付加 価値向上を通じた⽣産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを⽬的とする。
事業概要:
企業の成⻑・拡⼤を通した⽣産性向上や賃上げを促すために、中⼩企業等が⾏う、既存事業とは異なる、 新市場・⾼付加価値事業への新規参⼊にかかる設備投資等を⽀援。
事業再構築補助金の後継として、中小企業の成長につながる新事業進出·構造転換への投資に重点支援する新たな支援普置を創設されます。
補正予算で新たな予算は割り当てられていませんが、既存基金(事業再構築補助金の予算)より予算が出されて1,500億円の規模が想定されています。
詳細は出ていませんが、新規事業の立ち上げを検討されている事業者は申請を検討されても良いかもしれません。
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金【予算:3,000億円】
地域の雇用を支える中堅・中小企業の持続的な賃上げと生産性向上を目的とした補助金です。
人手不足への対応や労働生産性の向上、事業規模の拡大を図るための工場新設や大規模設備投資が対象となります。
補助金額と補助率
補助上限額:50億円
補助率:1/3以内
予算総額:3,000億円(令和8年度までの国庫債務負担含む)
補助対象経費
建物費(拠点新設・増築等)
機械装置費(器具・備品含む)
ソフトウェア費
外注費
専門家経費
基本要件
投資額が10億円以上(専門家経費・外注費を除く)
従業員2,000人以下の中堅・中小企業が対象
補助事業終了後3年間の賃上げ要件を満たすこと
賃上げ要件従業員1人当たりの給与支給総額の年平均上昇率が、事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上であること。
中小企業省力化投資補助金【予算:3,000億円】
人手不足に悩む中小企業や小規模事業者が、IoTやロボットなどの汎用製品を導入する際の費用を一部補助する制度です。
これにより、業務の効率化や生産性の向上を促進し、最終的には賃上げにつなげることを目的としています。
申請枠は現在2つあり、「カタログ注文型」と「一般型」です。
「カタログ注文型」で申請できる設備はどの設備も認められているわけではなく、事前に登録されている製品カテゴリの中に各社の製品が登録され、販売店と事業者が協力で申請するという流れになります。
補助金申請の方法はIT導入補助金に似ています。
「一般型」は業務プロセスの自動化・高度化やロボット生産プロセスの改善、デジタルトランスフォーメーション(DX)等、中小企業等の個別の現場の設備や事業内容等に合わせた設備導入・システム構築等の多様な省力化投資を促進する目的で新設された枠です。
こちらは事前に製品が登録されていなくでも任意の設備・システムを選定できる見通しです。
いずれにしても、中小企業省力化投資補助金は最も大きな予算が確保されている補助金であり、注目度、採択率が高い補助金です。
補助率と補助上限額
カタログ注文型 補助率1/2
従業員数 | 補助上限額 | 賃上げ達成時の上限額 |
5人以下 | 200万円 | 300万円 |
6~20人 | 500万円 | 750万円 |
21人以上 | 1,000万円 | 1,500万円 |
一般型 補助率1/2(小規模・再生事業者 2/3)
従業員数 | 補助上限額 | 賃上げ達成時の上限額 |
5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
6~20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
21人~50人 | 3,000万円 | 1,500万円 |
51~100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
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まとめ
2025年度の補助金制度は、中小企業や中堅企業の成長を支援するため、広範囲かつ多様な補助金が用意されています。
新設された補助金や既存の制度に加え、成長投資や地域活性化に重点を置いた施策が展開されます。
この記事のポイント:
新たな補助金の登場:「中小企業成長加速化補助金」「新事業進出補助金」により、成長志向の中小企業や新規事業進出への支援が強化。
主要な補助金:「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」など、従来の人気補助金も引き続き利用可能。
成長投資を支援:「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」「中小企業省力化投資補助金」が大規模予算で展開され、特に賃上げや省力化投資が注目。
補助金を効果的に活用することで、事業拡大や効率化が期待できます。2025年度の制度を最大限に活用し、事業の発展につなげてください。
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